金融商品取引業等に関する内閣府令平成十九年内閣府令第五十二号
第141条(顧客分別金信託の要件)
法第四十三条の二第二項に規定する信託(以下「顧客分別金信託」という。)について、金融商品取引業者等は、次に掲げる要件(投資者保護基金にその会員として加入していない金融商品取引業者(以下この条において「投資者保護基金非加入金融商品取引業者」という。)及び登録金融機関にあっては、第三号及び第十号に掲げるものを除く。)の全てを満たさなければならない。 一 顧客分別金信託(対象有価証券関連店頭デリバティブ取引等に係る顧客分別金信託を除く。以下この条において同じ。)に係る信託契約(以下この条において「顧客分別金信託契約」という。)は、金融商品取引業者等を委託者とし、信託会社又は信託業務を営む金融機関を受託者とし、かつ、当該金融商品取引業者等の行う金融商品取引業(登録金融機関業務を含む。)に係る顧客を元本の受益者とすること。 二 顧客分別金信託については、受益者代理人を選任することとし、金融商品取引業者等が複数の顧客分別金信託契約を締結する場合にあっては、これらの顧客分別金信託契約に係る受益者代理人を同一の者とすること。 三 金融商品取引業者が通知金融商品取引業者(法第七十九条の五十四に規定する通知金融商品取引業者をいう。第十号において同じ。)に該当することとなった場合には、投資者保護基金(当該金融商品取引業者が所属するものに限り、法第七十九条の四十九第四項の規定による定款の定めがあるものを除く。以下この項において同じ。)が特に認める場合を除き、投資者保護基金を受益者代理人とすること。 四 顧客分別金信託(信託業務を営む金融機関への金銭信託で元本補塡の契約のあるものを除く。)の信託財産に属する金銭の運用は、次に掲げる方法に限るものとすること。 イ 国債その他金融庁長官の指定する有価証券の保有 ロ 金融庁長官の指定する銀行その他の金融機関(自己を除く。)への預金 ハ その他金融庁長官の指定する方法 五 顧客分別金信託が有価証券の信託又は金銭及び有価証券の信託である場合にあっては、信託される有価証券は、国債その他の金融庁長官が指定する有価証券に限るものとすることとし、当該顧客分別金信託の信託財産である有価証券につき貸付けによる運用を行わないものであること。 六 金融商品取引業者等において、個別顧客分別金額(第百三十八条から第百四十条までの規定により顧客ごとに算定した当該顧客に返還すべき額をいう。以下この号及び第十二号において同じ。)及び顧客分別金必要額(個別顧客分別金額の合計額をいう。以下この条において同じ。)が、毎日算定されるものであること。 七 週に一日以上設ける基準日(以下この項において「差替計算基準日」という。)における信託財産の元本の評価額が顧客分別金必要額に満たない場合には、当該差替計算基準日の翌日から起算して三営業日以内にその不足額に相当する額の信託財産が追加されるものであること。 八 信託財産である有価証券の評価額は、次のイからハまでに掲げる場合の区分に応じ、当該イからハまでに定める額とすること。 イ 顧客分別金信託が信託業務を営む金融機関への金銭信託で元本補塡の契約のあるものである場合 当該金銭信託の元本金額 ロ 顧客分別金信託が有価証券の信託又は金銭及び有価証券の信託である場合 差替計算基準日の時価に金融庁長官が顧客分別金信託の元本の受益者である顧客の保護を確保することを考慮して定める率を乗じて得た額を超えない額 ハ イ及びロに掲げる場合以外の場合 差替計算基準日の時価 九 顧客分別金信託契約の解約又は一部の解約を行うことができる場合は、次に掲げる場合とすること。 イ 差替計算基準日の信託財産の元本の評価額が顧客分別金必要額を超過する場合に、その超過額に相当する金額の範囲内で顧客分別金信託契約の解約又は一部の解約を行おうとする場合 ロ 募集等受入金(顧客から受け入れた売出し若しくは特定投資家向け売付け勧誘等、募集若しくは売出しの取扱い若しくは私募若しくは特定投資家向け売付け勧誘等の取扱い又は買付けの媒介若しくは代理(公開買付者を相手方とする公開買付けに係るものに限る。)に係る株券、債券、投資信託の受益証券又は投資証券の申込証拠金又は払込金をいう。以下この条において同じ。)の払込日に当該募集等受入金に係る顧客分別金必要額に相当する額(当該額が顧客分別金残余額を超える場合にあっては、当該顧客分別金残余額)の範囲内で顧客分別金信託契約の解約又は一部の解約を行おうとする場合 ハ 他の顧客分別金信託契約に変更するために顧客分別金信託契約の解約又は一部の解約を行おうとする場合 十 金融商品取引業者が通知金融商品取引業者に該当することとなった場合には、投資者保護基金が特に認める場合を除き、当該金融商品取引業者は、受託者に対して信託財産の運用の指図を行わないこと。 十一 顧客分別金信託契約に係る元本の受益権の行使は、受益者代理人(委託者が投資者保護基金非加入金融商品取引業者以外の金融商品取引業者である場合にあっては受益者代理人である投資者保護基金に限り、委託者が投資者保護基金非加入金融商品取引業者である場合にあっては受益者代理人である弁護士等(第七項第一号に規定する弁護士等をいう。)に限る。以下この号及び第六項において同じ。)が必要と判断した場合に、当該受益者代理人が全ての顧客について一括して行使するものであること。 十二 元本の受益者である顧客ごとの元本の受益権に相当する価額は、元本の受益権の行使時における顧客分別金信託の元本換価額に当該受益権の行使の日における顧客分別金必要額に対する当該顧客に係る個別顧客分別金額の割合を乗じて得た額(当該額が当該個別顧客分別金額を超える場合には、当該個別顧客分別金額)とすること。 十三 元本換価額のうち顧客ごとの元本の受益権に相当する価額の合計額を超える部分については、委託者である金融商品取引業者等に帰属するものとすること。
2 前項第七号の場合において、同号の顧客分別金必要額のうちに募集等受入金(同号の規定により信託財産が追加される日までの間に払込みが行われたものに限る。以下この項において同じ。)に係るものがあるときは、当該募集等受入金に係る顧客分別金必要額を同号の不足額から控除することができる。
3 第一項第九号の規定により行う顧客分別金信託契約の解約又は一部の解約に係る信託財産は、委託者である金融商品取引業者等に帰属させることができる。
4 第一項第九号ロの「顧客分別金残余額」とは、同号ロの規定により行う顧客分別金信託契約の解約又は一部の解約に関する募集等受入金に係る顧客分別金必要額を算定する日における顧客分別金信託契約の信託財産の元本の評価額から、顧客分別金必要額(当該募集等受入金に係るものを除く。)を控除した額をいう。
5 第一項第十一号の場合において、同号の顧客分別金信託契約は、その目的を達成したものとして終了することができる。
6 第一項第十二号及び第十三号の「元本換価額」とは、顧客分別金信託契約の元本である信託財産を換価して得られる額又はこれに準ずるものとして受益者代理人が合理的な方法により算定した額をいう。
7 顧客分別金信託について、投資者保護基金非加入金融商品取引業者は、第一項各号に掲げる要件(同項第三号及び第十号に掲げるものを除く。)のほか、次に掲げる要件の全てを満たさなければならない。 一 受益者代理人のうち少なくとも一の者は、弁護士、弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人、公認会計士、監査法人、税理士、税理士法人又は金融庁長官の指定する者(以下この項及び次条第一項において「弁護士等」という。)をもって充てられるものであること。 二 投資者保護基金非加入金融商品取引業者が次条第一項第四号イ及びハからトまでに掲げる要件のいずれかに該当することとなった場合には、弁護士等である受益者代理人のみがその権限を行使するものであること(当該受益者代理人が、他の受益者代理人が権限を行使することを認める場合を除く。)。 三 投資者保護基金非加入金融商品取引業者が次条第一項第四号イ及びハからトまでに掲げる要件のいずれかに該当することとなった場合には、弁護士等である受益者代理人が特に認める場合を除き、当該投資者保護基金非加入金融商品取引業者が受託者に対して信託財産の運用の指図を行うことができないものであること。 四 顧客の受益権が弁護士等である受益者代理人により一括して行使された場合には、当該受益権に係る信託契約を終了することができるものであること。